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タグマネジメントの基礎講座…デジタルマーケティングの注目株となりうるか

タグマネジメントの基礎講座…デジタルマーケティングの注目株となりうるか

最近デジタルマーケティング担当者の間で注目されている「タグマネジメント」。2012年にGoogleがGoogleタグマネージャを発表したことを皮切りに各社様々なタグマネジメントツールをリリースしました。

タグマネジメントとは簡単に言うと“アクセス解析やWeb広告などで利用しているHTMLタグを管理すること”です。そしてその機能を持つツールをタグマネジメントツールと呼んでいます。このツールを使うことによりウェブサイトの安定化を図るだけでなく、戦略的なマーケティングが行えるようになりました。

本記事では、マーケティング部門や情報システム部門の担当者が知っておきたいタグマネジメントの基礎知識と活用例について解説します。

 

目次
▼デジタルマーケティング全盛時代、新たな課題に効く「タグマネジメント」
 (1)タグマネジメント登場の背景とは
 (2)タグマネジメントとは

▼ケーススタディで見るタグマネジメント
 (1)タグマネジメント導入で成功したA社の場合
 (2)A社が成功した理由とは
▼注目のタグマネジメントを活用する上で知っておくべきポイント
 (1)事例から読み取れること
 (2)お勧めのタグマネジメントツール3選
まとめ:タグマネジメントツール導入を考える

 

 

デジタルマーケティング全盛時代、新たな課題に効く「タグマネジメント」

 

(1)タグマネジメント登場の背景とは
[1]タグ増加の理由

2012年10月のGoogleタグマネージャ登場は、従来のタグ管理に大きな変化をもたらしました。ここではまずタグマネージャ登場の理由として、タグマネージャが登場する前の2009年から2012年までのタグ増加の推移について解説します。

2009年は行動ターゲティング広告が徐々に浸透した年です。そして各社行動ターゲティングやリターゲティング※1)に取り組み始めた年でもあります。タグの中でもリターゲティングタグはサイト訪問者に再度来訪させるために設置するタグです。そのためコンバージョンページだけでなく全ページに設置する必要があります。広告効果測定用のタグは全ページではなく、LPやコンバージョンページだけに設置されます。一方、リターゲティングタグとアクセス解析タグは、ほぼ全ページに同じようにタグが設置されています。しかし当時リターゲティングタグはあまり導入されておらず、広告の主流ではなかったのです。

2011年頃、DSP(Demand Side Platform)が登場しました。これはターゲットと予算を設定すればDSPが自動で最適な広告配信を行うものです。また当時Googleが保有していた広告インベントリをこのDSPから配信することができるようになりました。その結果、大量にリターゲティング広告が配信され、インターネット広告の主流が変化しました。広告主サイトの全ページに複数のDSPタグやリターゲティングタグが同居する結果となりました。DSPはどのページにどのタグを起動させるかといったような運用も可能で、特に投下量が多ければ多いほど細かい運用が必要です。例えば擬似的にコンバージョンページを設定するにはADタグに効果測定用タグを追加したりして必要タグが増えて行きました。

2012年になるとリターゲティング広告の進化系としてリコメンデーションバナーなどが登場します。これらに加えてSNS系のソーシャルボタンが始まり、飛躍的にタグ導入数が増加する結果になりました。つまりこの数年で、アクセス解析タグやリターゲティングタグだけでなく従来のコンバージョンタグ、新規のレコメンデーションタグやDSPタグなど一気にタグが増えて行きました。そしてこれら「タグ設置作業」がコストや工数等に負担を掛け、一方サイトのユーザビリティにも影響を与え始めたので企業としては改善を図るようになりました。そこでこれらのコストや工数を軽減して、WEBマーケティングのスピードアップを図るためにタグマネジメントツールが登場したのです。

 

tagmanager

 

※1)リターゲティング
インターネット広告の中で広告主のWebサイトを訪問したユーザーの行動を追跡し、他サイトの広告枠上で同じ広告主の広告を表示させることで、再度の訪問を促す配信方法の事。
※2)DSP(Demand Side Platform)
広告主側が決めた予算管理、入稿管理、掲載面の管理、予算やターゲットとするユーザー属性などに従って最適な広告枠を選定したり、過去の成果を反映した配信条件を最適化するなどといった機能を提供するものである。広告主の広告効果を最大限にするための支援ツール。

 

[2]「ワンタグ」との違い

2009年以前からワンタグというツールがありました。複数のASPサービスであるアフィリエイトサービスやリスティングなどを一括して管理できる仕組みです。広告数が多くなると管理リソースが膨大になるのでワンタグを利用することで一括管理するものです。広告効果の比較やアフィリエイト特性が把握しやすいなど、広告戦略が立てやすいメリットがありました。先ほどタグマネジメントツールが「タグ管理」であると説明したところで、どのように違うのかまとめてみました。

ワンタグはWebページに設置されたタグ自身が情報収集を行い、提携している各ASPサービスに一括で情報を送信します。複数のタグを一元管理するという機能です。一方タグマネジメントツールはさらに機能進化して、より攻めのマーケティングツールとして発展したものです。管理だけだったワンタグ機能※1)からより高度なマーケティング施策が行えるのうになったのです。管理工数削減だけでなくマーケティングをさらに高度化して対応サービスが豊富になりました。タグを管理するという意味ではどちらも同じですが、タグマネジメントはさらにどのページでタグを発動させるか、タグの読み込み速度の改善を行うといった事も可能になっています。またタグマネジメントツールを使うとサイトを直接修正することなくタグの追加や削除が可能になりますので、技術者ありきのWEB管理から脱却し、マーケティング側からもスムーズな施策が展開できるのがメリットです。

どちらもタグを一元管理するところは一緒ですが、目的と意味合いが異なります。下記図のようにワンタグが効果測定を目的とし、情報の還流が一方であるのに対し、タグマネジメントツールは双方向の情報管理がなされています。

 

tagmanager2

 

[3] Googleタグマネージャ

ここで冒頭でも触れたGoogleタグマネージャについて簡単に解説します。

Googleタグマネージャとは、名前の通りタグマネジメントができるツールです。具体的には、Google アナリティクスやGoogle AdWordsなどでWebサイトに設定するタグや SNSで使用するタグといった従来個別に設定していた複数のタグを一括管理できるものです。

例えば、タグの書き換えや変更したい場合は管理者にお願いしてタグの入れ替えを行わなければなりませんでした。しかしタグマネージャを利用すると、管理者でなくても変更することが可能になります。一般的に、アクセス解析やリスティング広告などマーケティング担当者が、自社サイトを管理更新しているわけではなく、何か変更があればWeb管理者更新などを依頼することでしょう。タグマネージャを使用することによって、Web管理者でなくても、タグマネージャの管理画面から変更することが可能になります。ただし、事前に Googleタグマネージャのタグを設定する必要があります。そのため、設定はリニューアルや大規模な改修をするときに行うと良いでしょう。

 

gtm

http://www.google.com/tagmanager/より

 

 

 

(2)タグマネジメントとは
[1]タグマネジメントが可能にすること

タグマネジメントの定義は冒頭でもお伝えした通り、アクセス解析やWeb広告などで利用しているHTMLタグを管理すること”です。Webサイトに埋め込むHTMLタグを管理し、その機能を果たすツールがタグマネジメントツールということになります。シンプルに言うとタグ管理という意味です。タグマネジメントは各社様々なタグマネジメントツール(タグマネージャ)を提供しています。タグマネジメントツールを使った管理とは、サイト上の全頁にタグマネジメントツールが発行したタグを設置して、広告コンバージョンタグやリターゲティングタグを管理画面上で登録し、利用可能にします。

 

[2]タグマネジメントのメリット

タグマネジメントの根幹はWebサイトの全ページに指定のHTMLタグを設定していくことです。その時設定するHTMLタグはWebサイト全ページで同じタグとは限りません。コンバージョンタグは特定のページだけに設定しますが、アクセスタグは全ページに設定します。また外部ツールである広告効果測定やSNSなどのタグは複数種類使用する可能性もあります。その場合ややこしいのは指定タグを設定すればいいのではなく、Webサイトによってはタグをカスタマイズする必要があるかもしれないということです。一口にタグといっても様々な種類があるということです。そこでタグマネジメントツールが登場します。

タグマネジメントツールは、オンライン上でタグマネジメントを行うことができます。また手動で更新・管理していたタグをリアルタイムで最新の状況に更新したり確認したりすることが可能になります。つまり従来はプログラマーにタグを追加したり削除依頼していたところをマーケティング担当者だけでも追加したり削除したりできるようになったということです。これはマーケティング側としてもWebサイトにかかる人件費軽減という面からもかなりメリットが大きいです。手動で更新していた時代には起きたかもしれない、タグの更新漏れもないので。非常に安定した状態で管理することが可能になりました。

 

[3] タグマネジメントが解決する課題-「Tealium」

タグマネジメントツールを利用すると様々な問題を解決できるようになります。まず今まで複数のタグを管理していた管理者でなくても管理することができるようになります。また全ページに設定されるタグはタグマネジメントツールのタグだけになります。そしてリアルタイムでタグの状況が確認でき、マーケティング担当者がタグを直接編集したり削除したりすることができるようになります。そのためWebサイトのアクセス解析やリスティング広告の管理に必要であったコストがかからなくなります。先述したように、タグの更新漏れもなくなりますので、そのような意味からも無意味な工数がかかりません。このように便利なタグマネジメントツールですが、さらに進化したタグマネジメントツールが2015年4月に日本上陸しました。「Tealium」という製品です。ここでこのツールについて簡単にご紹介します。

 

 

tealium

 

 

「Tealium」はタグマネージャをマーケティングプロダクトへ進化させたツールと言われ、リアルタイムマーケティング データプラットフォーム と自らを命名しています。実は先ほどご紹介した Googleタグマネージャも得意領域があります。得意領域があるということは、不得意領域もあるということで、そこをカバーするためには別のタグマネージャを使う必要があります。一見、便利なタグマネージャですが、さらに複数のタグマネージャを使っていく必要が出てきました。今までのタグマネージャのできることが広告管理やアクセス管理といったものに使われるなら、「Tealium」は Webマーケティングに使えるツールに進化したといえるでしょう。海外ではすでに 500社以上のグローバル企業に提供されており、利用サイトは 20000以上、取り引き金額は 750億ドルとなっていて、すでにかなりの実績を積んでいます。

「Tealium」が可能にすることは、アクセス解析ツールやマーケティング、広告タグなどを接続し連結することです。もう少し分かりやすく言うと、アクセス解析・メール配信・マーケティング自動化・CRM・広告効果測定・SNS・リマーケティングといったそれぞれのプロダクトを連結して一気に管理することができるのです。これをエンタープライズタグマネージメントと総称し、前述のような製品や広告ツールを一元管理することができます。

tealium2

また、複数の人によるタグ管理ができるような機能があり、750以上のタグテンプレートが用意されています。日本の広告タグにも適用を始めました。「Tealium」が最も優れているのは、リアルタイムオーディエンスマネージメントという機能です。取得されたCookieをデータ化し、そこからユーザー行動をセグメント化して目標に対してアプローチすることが可能になります。例えばアップセルプロモーション・メールプロモーション・プライベート DMPと連携した広告配信などが可能になります。そしてこれらの施策で取得したログデータをすべてエクスポートすることができます。このように「Tealium」は総合的なマーケティングを実現することが可能なのです。

http://tealium.com/ より

 

ケーススタディで見るタグマネジメント


(1)タグマネジメント導入で成功したA社の場合

このように便利なタグマネジメントツールを導入し、一定の成果を上げた事例をご紹介します。これは海外のある国際的航空会社A社のタグマネジメント導入事例です。

 

航空会社A社は、航空券などを販売しているECサイトを運用していました。この時A社は販促のためにワールドワイドキャンペーンを展開しました。このキャンペーン開始以前にはIT部門とマーケティング部門、EC部門が連携してこのキャンペーンを行っていました。多くの部門や人員が関わることになり、本番直前までキャンペーンの準備が整わないことが度々ありました。そしてEC部門はキャンペーンをスムーズに実施するために、あらかじめ遅れることを想定したスケジュールを組まねばなりませんでした。この大きな課題を解決するためにタグマネジメントを導入することにしました。以下がタグマネジメント導入後の成功ポイントです。


 

(1)様々なWebマーケティングツールをスムーズに導入することが可能になった
(2)年間を通して常に100以上のキャンペーンを展開しており、キャンペーンの数だけタグ管理しなければならなかった。そのためタグの管理も以上に煩雑であったが解消
(3)事例冒頭でもお伝えしたように、複数の部門がキャンペーンにかかわっていた。複数の組織がかかわっていたタグ発行・管理業務が効率化し、簡素化された。そのためキャンペーン開始時期をコントロールすることが可能になり、通常3カ月程度の準備期間が必要だったキャンペーンが最小で1か月程度にまで圧縮された
(4)上記のような内容により、社内のタグ管理のコストが大幅に削減された。また、異なるチャネル間の効果まで一元管理できるようになったので、マーケティングの最適化が可能になった
(5)タグが一本化されたことによってWebページの閲覧速度が飛躍的に高速化した

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(2)A社が成功した理由とは

年間を通した数多くのキャンペーンを運用するA社にとって、マーケティング的な視野からも、経営的な視野からも非常にロスがあることはよく分かっていました。またWebを管理するEC部門やIT部門も、その都度人員を増やしたり減らしたり、スケジュールのコントロールやクオリティコントロールにまで問題が及んでいることに危機感を抱いていたのです。A社が成功したポイントをまとめてみました。

・全社的にも問題点がどこにあるのか共通した認識として自覚していた
・タグマネジメントをすることが、経営的な側面(コスト軽減)だけでなく、人的リソースも楽になるということが分かった
・部門感の危機感が顕著で、一部門としてのプロジェクトではなく、全体プロジェクトとして取り組めた
・部門感の人的ロス、時間のロス、コストのロスを従業員と経営側のどちらも共通して抱いていた

ということが挙げられます。また一度はプライベートDMP導入を考えていたようですが、その前にタグマネジメントを導入することがA社には必要と判断したのでした。マーケティング側としては、プライベートDMPを導入したい気持ちはあったようですが、実際フタを開けてみたら違う問題が存在し、その問題を解決してからプライベートDMPを導入すべきであるという結論に行きついたようです。またタグマネジメントは、通常異なった考え方をする部門間でさえ、共通認識させる問題解決能力がありました。また導入に際しては、わずか3カ月足らずでROIが128%になったと報告され、かなりの効果があったことが伺い知れます。

 

 

注目のタグマネジメントを活用する上で知っておくべきポイント


(1)事例から読み取れること

どの企業が同じように成功するとは限りません。しかし上記の成功事例は明らかに、導入時期が良かったこと、従業員レベルでも改善すべき点であることに気が付いていたことが成功につながりました。サイト自体が1つや2つであれば管理は問題なくても、年間通した数が多ければ、それだけ管理する問題も多くなります。それを人材や経費でカバーすることはどんな企業でもいつかは不可能になるからです。また経営面からのメリットだけでなく、業務改善につながったり、本来部署がすべき仕事に注力できるようになったなど、「単なるタグの改善や整理」だけでないメリットがあります。そこもマーケティング部門だけでなくIT部門やEC部門といった関連部署までもが注目する点なのでしょう。

ただ1点、注意が必要なのは、導入時期を見誤らないことです。それは、タグを整理する場合、従来のタグは一旦削除し、タグマネジメントツールのユニバーサルタグを最初だけ設定していかなければならないからです。そうなれば膨大な処理に追われ、現業を圧迫することにもなりかねません。そのため、企業であれば大々的なリニューアルか、厳密なスケジュールを組んだ上で効率的にタグ設定をしていく必要があります。そしてその時の導入コストも忘れてはなりません。またタグは1つにまとめられているので、場合によっては別の時限爆弾になりかねないこともあります(ツール提供元サーバーが落ちてしまったなど)。しかし色々デメリット部分を知った上で、長期的にみるとやはり導入メリットは高いのではないでしょうか。タグ管理が煩雑になり、コストがかかっている企業の方は是非導入を検討する良い機会になるでしょう。

 

 

(2)注目のタグマネジメントツール3選

最後に現在日本で利用されているタグマネジメントツールをいくつかご紹介します。

■Googleタグマネージャ
Google Analyticsとの連携は最もやりやすく、リマーケタグやコンバージョンタグの設定も簡単なのでGoogleをメインとする広告主とは抜群の相性を持っています。DFAやClickTaleとも連携可能で、ヘルプ機能も充実しているので使いやすいと評価も高いのが特徴です。広告がGoogleメインであればこれだけでも足ります。ただし、サードパーティ系ツールとの連携しにくいという指摘もありますのでご注意ください。

■Yahoo!タグマネージャー
Googleと異なり、Yahooに出稿している場合に利用可能です。Googleが制限をもっていないのとは違います。ただし出稿さえしていれば問題ありません。Googleと大きく異なる点はサードパーティーの連携タグが多いことです。これによりサイトの表示が高速化されるというメリットがあります。またBright TagのDMPと連携しているので、Yahooをメインに出稿されているなら使い勝手はかなり良いはずです。

■dynamic tag management
Adobe Marketing Cloudの機能の1つ。Adobe Marketing Cloud製品と連携できるだけでなく、Google Analyticsとも連携可能です。高機能である部分を評価して使うのであれば3つの中でもこれを一押ししますが、実際のところ高機能ゆえかなり精通していないと使いこなすまでに時間がかかる場合があります。

 

 

 

まとめ タグマネジメントツール導入を考える

いかがでしょうか。様々なタグマネジメントツールがありますが、コラム中段でご紹介した次世代タグマネジメントツール「Tealium」やこの上記3種類の媒体に紐づいたタグマネジメントツールなど、各社各様のツールが出ています。タグマネジメントツールは導入するまでに時間がかかり、慣れるにも時間がかかる場合もありますが、一旦使ってしまえばその便利さは言うまでもありません。最近はサードパーティーツールともどんどん連携していますので、ますます新たな施策を行えるようになってきています。多くのマーケティングツールを利用している企業にとっては、ますますメリットが高いのではないでしょうか。もしタグマネジメントツールをまだ導入されていないのであれば、この機会にぜひタグマネジメントツールの導入をご検討ください。

 

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