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オムニチャネルでBeacon(ビーコン)の活用は広がるか?<br />~Appleの「iBeacon」 VS Googleの「Eddystone」~

オムニチャネルでBeacon(ビーコン)の活用は広がるか?
~Appleの「iBeacon」 VS Googleの「Eddystone」~

2013年、Appleが「iBeacon」をiOS7に標準搭載しました。「iBeacon」はBluetoothを使いスマホに情報発信、プッシュ通知できる仕組みであり、オムニチャネルの切り札として期待されました。その後、「iBeacon」に対応するサービスがいくつもリリースされたのですが、普及するに至っていませんでした。

そんな中、2015年7月14日にGoogleが新たなBeacon規格「Eddystone」を発表しました。「Eddystone」はオープンな規格であり自由度が高いため、新たなBeaconの活用が期待されています。

ここではiBeaconとEddystoneの違いを比較するとともに、オムニチャネルの現場で今後Beaconはどのように活用されていくのかについて見ていきたいと思います。

 

目次
▼オムニチャネルとは
▼Beacon(ビーコン)とは?
▼オムニチャネル現場でのビーコン活用の現状と課題
▼iBeaconとEddystoneの比較
▼Beacon(ビーコン)の今後

 

 

オムニチャネルとは?

 

Beaconの説明の前に、オムニチャネルについても簡単に見ていきたいと思います。

「オムニ(omni)」とは「あらゆる」という意味があります。「オムニチャネル」とは、実店舗やWebサイト、SNSなど顧客とのすべての接点で顧客経験価値(カスタマー・エクスペリエンス)を高める取り組みです。

例えば、ネット通販で購入したものを実店舗で受け取るサービスやアプリへのプッシュ通知でクーポンを配り来店を促進するサービスなどもオムニチャネルの一例です。オンライン、オフラインの購買履歴や行動履歴などの情報を統合的に管理することで、「個客」へよりきめ細かなサービスを提供することが可能となります。

オムニチャネルの重要性が叫ばれる中、注目された仕組みの一つがBeaconです。

 

 

 

Beacon(ビーコン)とは?

 

Beacon(ビーコン)はBluetooth Low Energy(BLE)を使いスマホアプリに情報発信、プッシュ通知ができる仕組みです。Beaconの端末を特定の場所に設置することで、その近くを通る人のスマホアプリに対して情報発信やプッシュ通知をすることが可能となります。

数cm~数十mの範囲での配信が可能となるため、ピンポイントでの情報発信やユーザーの行動のトラッキングなどができるようになります。

利用用途の例としては、店舗への入店時にクーポンを配信することや特定の棚の前でその商品の詳細情報を通知することなどが挙げられます。また、その入店などのログを管理することでユーザーの行動履歴を把握することも可能となるのです。

来店者の位置と行動により最適な情報を配信できるとともに、オフラインでの行動履歴を把握することができるため、オムニチャネルでの活用が注目されました。

 

 

 

Beacon(ビーコン)の現状と課題

 

Beaconは2013年にAppleが「iBeacon」をiOS7以降に標準搭載したことから、注目を集めるようになりました。

そして、来店時のクーポン配信やポイント付与、あるいはスタンプラリーのようなイベントなどでの実証実験や導入が進んでいきました。また、多くのITベンダーがBeaconを利用したサービスをリリースしました。

しかし、実際のところBeaconが普及しているかというと疑問が残ります。一般の消費者の中でどれだけの人がBeaconを利用したことがあるかというと、まだまだ少数にとどまっているといえます。

オムニチャネルでの活用を期待されていたBeaconが、まだ普及に至っていないのでしょうか?
その理由として以下のような課題が挙げられます。

(1)BluetoothをOFFにしているユーザーが多い
(2)アプリをダウンロードしない
(3)「iBeacon」はiOS向けの規格でAndroidに正式対応していない

それぞれについて見ていきます

 

(1)BluetoothをOFFにしているユーザーが多い
Beaconを利用するためには、スマホのBluetoothをONにしている必要があります。しかし、実際にはBluetoothをOFFにしているユーザーが多く存在しています。電池の消費を気にするとともに、そもそもBluetoothをONにする必要性を感じない人が多いのです。

これを解決するためにはBluetoothをONにすることで多くのメリットが得られるような魅力的なアプリ、サービスを提供する必要があるといえます。

 

(2)アプリをダウンロードしない
(1)とともにBeaconの普及が進まない大きな理由の一つが、ユーザーがアプリをダウンロードしないということです。Beaconを利用するためにはBeaconに対応したアプリをダウンロードする必要があります。しかし、そのアプリダウンロードを促すことに苦戦している企業が多く存在しています。

これを解決するためには、(1)の課題と同様に魅力的なアプリ、サービスを提供する必要があるといえます。

また別の可能性として、すでに多数のユーザーが利用しているメジャーなアプリに対してBeacon機能を追加することで、普及が進むことも考えられます。

実際にLINE株式会社がスタートトゥデイ社と提携し、BeaconとLINE公式アカウントやLINE@とを連携させた「ビーコン活用サービス」を2016年春頃から提供するとの発表も出ています。具体的にはアパレル店舗において、商品に取り付けられたボタン型を押すとLINEアカウントを通じて、その商品や店舗情報が直接スマホに届く仕組みとなっています。

また、FacebookもアメリカでBeacon端末を小売店などに無償配布するなど、Beaconとの連携を図っています。

 

(3)「iBeacon」はiOS向けの規格でAndroidに正式対応していない
Kantarの調査によると2016年1月時点の日本におけるモバイルOSのシェアは、iOS50.3%、Android48.7%とAndroidも半数近くを占めています。

Appleが提供する「iBeacon」はiOS向けの規格であるためAndroidには正式対応していません。
ただし、それはあくまで「iBeacon」という規格というだけで、実際にはAndroidでもBluetooth信号を受信することができるため利用は可能となっています。しかし、Beaconの代表格といえる「iBeacon」がAndroidに正式対応していないことは、やはり普及に影響していると考えられます。

そのような状況の中、2015年7月にGoogleが新たなBeacon規格「Eddystone」を発表しました。「Eddystone」はiOSとAndroid両方に対応しています。また、オープンな規格で自由度が高いため、新たなBeaconの活用が期待されています。

 

 

 

iBeaconとEddystoneの比較

 

では、「iBeacon」と「Eddystone」にはどのような違いがあるのか、主な違いについて見ていきたいと思います。

まず挙げられるのがオープン性の違いです。

「iBeacon」のコードがブラックボックス化されているのに対し、「Eddystone」はオープンソース化されています。そのためより柔軟なカスタマイズが可能となっています。

また、上述したように「iBeacon」はiOSのみの対応ですが、「Eddystone」はiOS、Android両方に対応するマルチプラットフォームとなっています。

ただし、iOS端末を利用している場合「iBeacon」に関してはアプリが起動していない状態でもBeaconを検知できるのに対し、「Eddystone」に関してはアプリを起動しておく必要があります。(バックグラウンド)

したがって、iOS端末に関していうと、「iBeacon」の方が使い勝手は良いといえるかもしれません。

 

また発信できる情報についても大きな違いがあります。
「iBeacon」は端末のID(識別情報)を発信できるだけですが、「Eddystone」の場合URLを発信することもできます。「iBeacon」では専用アプリが必要でしたが、「Eddystone」ではIDの発信以外にURLを発信することもできるためWebブラウザでの対応も可能となります。より手軽に、より多様なBeaconのサービスが可能となると思われます。

ただし、スパム行為やウィルスを持った悪意を持ったURLが送られるという危険性も考えられるので、セキュリティ面での懸念点は残っていると考えられます。

また、URL発信については、iOSではプッシュ通知は行われず通知センター(iOSの画面上部を下にスワイプして現れる画面)の「今日」画面への通知となります。そのためあらかじめChromeを通知するように設定しておく必要があります。そのためURL通知に関してはプッシュ通知ができず、通知画面を開いて確認する必要がありますのでURL通知が優れているとは一概には言えません。

このようにオープン性や柔軟性については「Eddystone」は優れているといえるかもしれませんが、セキュリティ面などの懸念点は残っています。
また、「iBeacon」に関してはある程度普及しており実績も多いのに比べ、「Eddystone」に対応したサービスはまだこれからというのが実情です。

 

iBeaconとEddystoneの比較表

 

 

無題

 

■Beacon(ビーコン)の今後

 

LINEやFacebookなど多数のユーザーを抱えるアプリがBeaconに対応することで、一気に普及する可能性も考えられます。

また、Googleの「Eddystone」の登場により新たなサービスが生まれる可能性があるとともに、それに対抗しAppleが新たな展開を実施する可能性もあります。

しかし、結局のところ最も重要なのはBeaconを利用することでユーザーは何を得られるか、ということです。Beaconはあくまでも情報発信するための手段にすぎず、ユーザーがメリットを感じられなければ意味はないのです。

ユーザーにとって有益なサービスをどのように提供できるか、サービス提供者の知恵と工夫が求められているといえるでしょう。

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