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CMSツール選定に失敗しないための5つのチェックポイント

CMSツール選定に失敗しないための5つのチェックポイント

統合型デジタルマーケティングの実践にCMS(コンテンツ・マネージメント・システム)は必須のツールです。CMSを単なるサイト管理ツールとして導入するのではなく、マーケティングツールとして活用しようと考えるのであれば、CMSの選定には単純な機能比較だけではなく、統合型デジタルマーケティング業務に関わる、さまざまな視点から評価を行う必要があります。

 

目次
▼CMSのトレンドは「管理(守り)」から「マーケティング(攻め)に」
▼主要CMS製品の特長
▼CMS選びで注意すべきポイント

 

 

CMSのトレンドは「管理(守り)」から「マーケティング(攻め)に」

 

CMSのトレンドの流れ

CMSは、2005年頃から日本でも利用されるようになり、大企業などが本格的に自社のコーポレートサイトやECサイトの運用管理に利用し始めたのは2010年を過ぎてからのことです。比較的歴史の浅い分野といってよいでしょう。

当初は「Webの専門知識がない人でも簡単にサイトの運用・更新ができる」ということから人気が高まったCMSではありますが、次の段階として、「多くのコンテンツが同時並行で制作できる」「管理者権限の切り分けなどにより、きめ細やかなサイト管理が可能」という点に注目が集まり、コーポレートサイトなど大規模サイトの運用管理、大規模コンテンツのリアルタイム更新といったサイト管理ツールとしての役割が大きくなってきました。

今日では「運用者が直接顧客と接し、個別コンテンツの出し分けやクリエイティブ最適化、アクセス解析などが行える」といったマーケティングツールとしての使い方に注目が集まるようになってきており、総合型デジタルマーケティングのプラットフォームとしての利用方法に軸足を移しつつあります。

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主要CMS製品の特長

 

国内外で一定以上のシェアを保ち、多くの企業に導入されている実績のあるCMSプラットフォームには次のようなものがあります。主要な特長をまとめておきましょう。

 

Adobe Experience Manager(AEM)(製品サイト

AEMは、WebサイトだけでなくSNS、メールなどさまざまなデジタルコンテンツを一元的に管理できるソリューションです。コンテンツの管理というよりはUI管理に主眼を置いており、B2BやB2Cコマース、モバイルコマースにも注力しています。デファクトスタンダードの制作ツールを持っているため、クリエイターからの強い支持と、制作から配信、管理までのシームレスでスピーディーな連携に強みを持っています。また、直感的に操作できるユーザビリティの良さは秀逸です。

 

Drupal(製品サイト

オープンソース系のCMSプラットフォームとしては老舗で、2001年から今日に続く長い歴史があります。高機能で汎用性が高く、コンテンツや管理者権限、訪問者などに対する管理作業がしやすいという特長があり、運用のしやすさに高い評価があります。

 

HeartCore(製品サイト

Webマーケティング業務を遂行するために必要な機能がオールインワンで用意されています。カスタマーエクスペリエンス体験を重視した「CXM」という名前の製品も開発しており、マーケティング機能の拡充に重きを置いています。リテラシーの高くない担当者でも分かり易いユーザビリティが用意されています。また、独自関数により、動的機能の設定も比較的容易にできることも特長のひとつです。

 

Movable Type(MT)(製品サイト

2001年に1.0がリリースされて以来、今日の6.1まで進化し続けてきた老舗CMSプラットフォームです。
デザインの自由度が高いためWebクリエイターの間では高い人気を誇ります。また、プラグインが充実しており、高度なカスタマイズも可能になっています。以前はオープンソースでしたが現在はライセンス化されており、ベンダーからの公式サポートを受けることもできます。

 

NOREN(製品サイト

製品そのものは安定性とセキュリティを重視し、コンテンツ管理に特化した静的CMSです。ただし国内100社以上のSIerやWeb制作会社とパートナーシップを結び、マーケティング機能を含む各種ツール・サービスの組み合わせによる最適化がはかれる体制が強みとなっています。エンタープライズ企業がCMSを検討すれば必ず候補に挙がってくるほど知名度の高いCMSです。最近はハイブリッドCMSとして生まれ変わったNOREN6に注目が集まっています。

 

Oracle WebCenterSites(製品サイト

早くから「企業のマーケティングのプラットフォームになるCMS」を目指していたFatWireをオラクル社が買収し、「マーケティング効果の最大化と業務生産性の向上を支援するプラットフォーム製品」へと生まれ変わらせました。「攻めのCMS」を標榜し、複数チャネルによるオンラインマーケティングの企画、展開、ターゲティング、パーソナライゼーション、効果測定などをワンストップで行うことができます。最近はグローバル対応やPIM連携、MA連携によるオムニチャネル対応に強みを発揮し、課題であったユーザビリティのレベルも上がってきてます。

 

RCMS(製品サイト

さまざまなコンテンツデータをデータベースで項目ごとに管理し、それを自由に関連づけできるというユニークな構造を持ったRCMS。サイト内に散らばった情報同士をメタデータとして関連づけし、ユーザーが求めているコンテンツにたどり着きやすいというメリットがあります。

 

SDL Tridion(製品サイト

元祖多言語対応CMSと言えばこの製品です。多くの言語に対応しており、大規模グローバルサイトをきめ細かく効率的に管理ができるツールです。また、カスタマーエクスペリエンスに注力し、ターゲティングやEメール配信といったマーケティング機能も強化されています。エミレーツ航空、ホンダモーターヨーロッパなどでの採用実績があります。

 

SITE PUBLIS(製品サイト

ブロック方式を採用し、サイトデザインやUXの柔軟性を保ったまま自由なページレイアウトができるという強みを持ち、コンテンツの生産性を高めることができます。デバイス別に最適なコンテンツが配信できる「マルチデバイス最適化」という機能も持っています。また、ERPやCRMなどの既存システムとの連携に柔軟に対応できるアーキテクチャーも特長で、SIerからの評価は高いです。

 

TeamSite(製品サイト

大規模サイトの運用・管理を前提としたストラクチャとワークフロー管理により、多人数の共同作業に適しているCMSです。企業のコミュニケーション全体を管理するというコンセプトで設計されており、企業のブランディングやガバナンス強化にも役立てることができます。CMS黎明期より実績を増やし続け、代表的な大規模サイト向け静的CMSとして知られていますが、最近はLiveSiteモジュールによる動的サイト対応やモバイル対応にも注力し、万能CMSへ向けてパワーアップし始めている。

 

WordPress(WP)(製品サイト

導入の手軽さ、拡張性の高さで人気が高く、世界最大のシェアを誇り、日本でももっとも多く使われているCMSプラットフォームです。SNSとの連携性がよくSEOとの親和性も高く、デジタルマーケティングに必要なほとんどのツールがプラグインにより提供されています。

 

 

CMS選びで注意すべきポイント

 

デジタルマーケティングのプラットフォームとして最適なCMSを選択するためには、下記5つの評価ポイントが重要だ考えます。

①自社のWeb制作業務フローとの適性(管理業務視点)
誰がコンテンツ制作の方針を決定し、誰と誰が、いつ、どのようにコンテンツを作成するのか。誰がそれをチェックし、誰の承認を得てサイトにアップロードするのかといったフローを確認し、そのフローに適合した管理権限の設定ができるCMSはどれかを評価しましょう。例えば、ワークフロー機能の承認段階数の制限はあるのか、複数人のand/or承認は可能かなど、既存の承認フローに対応可能かをチェックしましょう。

 

②自社のマーケティング活動のPDCAサイクルに合っているか?(マーケティング業務視点)
デジタルマーケティングの実践は、仮説と検証を反復的に繰り返しながら改善し続けることがその本質にあります。そのため、PDCAサイクルをできる限り高速に回転させやすいことが求められます。また、デジタルマーケティングを担当する部署が、どのようにコンテンツやサイトのマーケティング効果を測定・評価し、どのくらいの頻度でサイトの改善を行うのか、どの規模やレベルまで改善するのかを分析しましょう。その実践が可能で、取り回しのいいCMSプラットフォームを選ぶ必要があります。例えば、CMS内でマーケティング効果の測定に必要なデータが抽出できるか、あるいはABテストなど自社が必要と考えるテストが実行可能か、といった点のチェックもポイントです。

 

③ユーザビリティ(使い易さ視点)
PDCAサイクルをできるだけ効率的に高速に回していくには、CMSのオペレーションはマーケティング担当部署で極力完結できるようにするべきです。しかしながら、マーケティング担当部署に常にITリテラシーが高い人材が集中しているとは限りません。将来の人事異動や人材教育なども視野に入れ、誰にでも直感的に操作できるインターフェースを実装したCMSを選びましょう。

 

④他の営業、マーケティング系アプリケーションやデータとの連携(連携性視点)
マーケティング施策の実行や分析業務、営業部門との協業を行う上で、関連アプリケーションやデータとの連携が柔軟にできるかは重要な評価ポイントとなります。DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)やERP(統合業務パッケージ)、CRMシステム(顧客関係管理)など、社内で運用されているほかのシステムとの連携性や、デジタルマーケティング活動全体を支援できるかどうか、といった点が重要な評価ポイントとなりつつあります。

 

⑤要求仕様
動的・静的、スケーラビリティ(想定されるサイトの規模や対応できるアクセス数)、セキュリティーレベル、ベンダーのサポート体制、マルチデバイス対応かどうか、多言語対応かどうか。これらの要求仕様は「高ければ高いほどいい」というものではなく、自社が「どのようなサイトを作り、運用していくのか」という具体的なイメージとの適合性が高いものを選ぶべきでしょう。

 

 

CMS選定には現在の業務分析が必須ですが、マーケティング戦略から将来の業務改善や顧客対応改善の方向性を考え、それに合ったベンダー、製品がどれかを考えることも重要です。上記5点に加え、ベンダーの市場ポジショニング、製品戦略、周辺ソリューションベンダーの拡張戦略など、より幅広く総合的な観点で評価するのが理想的です。
なお、今日のCMSはマーケティング部門が管轄することが多いと思われますが、CMSの選定にはマーケティング的観点だけではなく、構造的・システム的な観点からの評価測定も必要でしょう。できればIT部門とも連携して選定を進めていくとよいでしょう。

 

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